書評『ソーシャル時代に音楽を“売る"7つの戦略』
音楽業界を盛り上げたいと考えている私にとって
この本のタイトルを見て読まない手はないと思い一気に読破した。
感想は・・・『面白い時代になってきた』である。
まず本書を読む際に認識しておかなくてはならないことがある。
今の時代は決して『"音楽"が売れない時代ではない』ということ。
これが大前提。これを認識して読み進めないと意味がない。
CDの売上が低下している、アーティストが食べていけないなど
音楽業界に関して最近はネガティブな意見が多く聞かれるが
この本で語られる"音楽"はそんな断片的なものではなく、まさに"音楽"。
[目次]
INTRODUCTION これからの音楽人に求められるもの
PART1 ソーシャルメディアが音楽をドライブさせる
PART2 ニュースをどうやって作るのか?
PART3 PV・MVの可能性
PART4 ソーシャルメディアありきでレガシーメディアを考える
PART5 ディストリビューションの新しい形
PART6 増していくライブの重要性
PART7 成果報酬型プロモーションへ
APPENDIX 座談会~ソーシャルメディアとの付き合い方
本書は
音楽事務所経営 山口 哲一氏
ソーシャルメディアプロモーション、MV制作専門家 松本 拓也氏
プロモーション会社経営 殿木 達郎氏
ソーシャルメディア専門家 高野 修平氏
4名の共著という形になっており
PART1~PART7までそれぞれの得意分野について
実際の例を交えてこれからの"音楽"の売り方が綴られている。
ネタバレになってしまうので詳しくは書かないが
本書では単にソーシャルメディアをうまく使えばよいという結論には至らない。
今までも存在していた
レガシーメディアを用いたプロモーション、PV・MV、ライブ
そして最近台頭してきたソーシャルメディア全てをリンクさせ
"音楽"をどのように売っていくのかを"音楽"を愛する4名の著者が提案する。
私はアーティストとして"音楽"に携わり、
そして経営者としても"音楽"を盛り上げていきたいと考え活動している身なのだが
大変興味深く読ませて頂いた。
売り方を変えれば"音楽"は売れる。変えなければ売れない。
音楽業界の今を嘆くばかりのニュースを最近目にするが
本書はその類ではない。むしろ前向きに売れる方法を模索しているのだ。
読み終えた時、
『ソーシャル時代に音楽を“売る"7つの戦略』
というタイトルの意味、そして巧さがわかるだろう。
黒田 啓一