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ライブイベントブッキングサービス「Unity」運営会社代表が音楽活動のこと、音楽業界の現状や問題点、新しい提案などを書いてます。

ライブハウス事情について考える ~2.調査・分析 商品編~

 

ライブハウス事情について考える ~1.問題の認識~

ライブハウス事情について考える ~2.調査・分析 導入~

のエントリーで現在のライブハウスが抱える問題と
その問題を分析するにあたりライブハウス経営の構成要素を整理してきた。

今回はいよいよ本題の調査・分析をしていきたいと思う。
前回、構成要素として『商品』、『人』、『お金』、『販路』を挙げたが
今回は『商品』にクローズアップして掘り下げていく。
とはいえ商品といってもふわふわしてしまうので
ライブハウスがお客様に提供している
『ライブハウスの空間』、『ライブ・音源』、『ドリンク・フード等』に分けて
考えていきたいと思う。
(下図の赤枠部分)
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『ライブハウスの空間』
いきなりで恐縮だが皆さんはライブハウスにどのようなイメージを持っているだろうか。

一度も足を運んだことのない人にとっては
「イカついバンドがたくさんで怖い」
「生の音楽にあまり興味のない自分には関係ない」
などのイメージを持たれているのではないか。

実はこのイメージは間違っておらず、今まで出演者、観覧者、企画者として
ライブハウスにお世話になってきた私は今でも感じている。
世の中の位置づけ的にはライブ演奏を行う場所なので
多少は仕方ないかも知れないがやはりこれでは多くのお客様には
利用されない施設というイメージがぬぐえない。

ライブハウスの構造は基本的には
・エントランス・受付
・メインフロア(ライブ演奏を見るところ。大体の場合ドリンカーもここにある)
・楽屋
となっていることが多い。会場によっては多少の差があるが誤差の範囲だろう。

ライブハウスにいる間、
お客様である観覧者はメインフロアにいることになる。
あくまでライブハウスは『ライブ演奏を行う・観る場所』なので
当然とえば当然なのだが。

筆者は実はライブハウスの空間における問題はこの点だと考えている。

観覧者は一度ライブハウスに入ってしまうと
大音量で演奏が行われるフロアにずっと居なければならない。
つまり休憩をする場所がないのだ。
どこか窮屈なイメージを与えてしまうため居心地は良いものではない。

最近では再入場可能とし、外に自由に出られるようにしてあるところもあるが
これは『ライブ演奏を行う・観る場所』という位置づけと矛盾しているし
第一に出演しているアーティストのためにならない。

その他、機材や音響の良さなども空間の要素としてはあるが
ライブハウスである以上、それなりのものを備えている事がほとんどのため
よほど耳の肥えた観覧者でもない限り、そこに問題がある事は少ないと考えている。

余談ではあるが、海外において日本のライブハウスにあたるのはライブバーだ。
そこでは飲食スペースとライブを観るスペースが分けられており
観覧者は自由にどちらでも移動して楽しむことができる。

建物の広さも関係してくるので簡単には比較できないだろうが
やはり空間における最も大きい問題は居心地ではないだろうか。

 

 『ライブ・音源』
ライブはライブハウスと名乗る以上、やらないわけにはいかない。
が、ライブハウスのライブはどこも似たような感じである。

出演者が寡黙に演奏してライブハウス備え付けの照明、スモークで
分からない曲になんとなく演出する。

ライブは出演者任せである。
もちろん出演者が主人公であることは間違いなくそれが問題ではないのだが
ライブ自体にそのライブハウスの『色』というものが感じられないのだ。
出演者にとってはそれはただのライブであり、
そのライブハウスでのライブという形にはならない。

もちろん出演者のジャンルを『色』としているところもあるが
そういったところが多すぎて差別化の要因にはならないと思っている。

観覧者は出演者のライブを観に来ているのであって
そのライブハウスのライブを観に来ているのではないのである。
なのでリピーターにはならない。

またライブハウスによってはレーベルとして音源を販売しているところもある。
自分のライブハウスで育ったアーティストを自分のところでプロデュースするという
発想自体は良いものだと思うが、ライブと同様で『色』がない。
そこでないとダメなものが見つからないのだ。

 

『ドリンク・フード等』
前述のように日本におけるライブハウスは海外ではライブバーにあたる。
それにならってかはわからないが日本のライブハウスでもドリンクやフードが食べられる。

ライブハウスにもよるがドリンクの種類は割と充実しているように思う。
ビールやメジャーなカクテル、ソフトドリンクなどが一通り揃っている。

しかし、フードはあまりにも心許ない。
元々飲食するスペースではないにしてもドリンクを提供するならば
軽い食べ物でもよいのでそれなりのフードメニューがあってもよいと思う。

もちろんキッチンなどの設備の問題もあるのはわかるが
食べ物のメニューが殆どない飲み屋に行って飲み物を注文するだろうか。

「ドリンクはその日のお店の売り上げ向上に直接つながるので売りたい」
と話しているライブハウスの方がいらっしゃるのだが
残念ながらそれに対する具体的な行動には移されていないようだ。

 

【~2.調査・分析 商品編~ まとめ】
○ライブハウスの空間の問題
 観覧者にとって居心地が良くなく、くつろげる空間になっていない。

○ライブ・音源
 ライブハウス、またはそのライブハウスが運営しているレーベルに特色がなく
 出演者、観覧者をリピーターにできるほどの魅力がない。

○ドリンク・フード等
 ドリンクはその売れ行きによってその日のライブハウスの売り上げが増減する。
 つまり、ライブハウスの貴重な売り上げ源であるにもかかわらず
 それを向上させる具体的な方策がとられていない。

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