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ライブイベントブッキングサービス「Unity」運営会社代表が音楽活動のこと、音楽業界の現状や問題点、新しい提案などを書いてます。

ライブハウス事情について考える ~2.調査・分析 人編~

ライブハウス経営の構成要素として挙げている
『商品』、『人』、『お金』、『販路』について
前回は『商品』にクローズアップして調査・分析を行った。

流れに乗って今回は『人』にクローズアップして掘り下げていく。
ライブハウスにおいてステークホルダと考えられる
『ライブハウススタッフ』、『出演者』、『観覧者』に分けて考えていきたいと思う。
(下図の赤枠部分)

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『ライブハウススタッフ』
まずはライブハウスで働いているスタッフから。

私は今まで関東近辺を中心に様々なライブハウスでライブをさせて頂いたり
観覧者として訪れたりしてスタッフの方と接した経験がある。

やはり感じるところはライブハウスという特性によるものかもしれないが
出演者目線、観覧者目線どちらから見ても
サービス業という観点からすると落第点であるところが多い。

無愛想であったり、人を寄せ付けないオーラを放っていたり。

なぜそのような対応をとるのか、その原因はスタッフ教育の問題だと思っている。

ライブハウスはどのような仕組で経営されているのか、それを理解していないのだと思う。
お金の流れの理解不足もあるが、
まずは誰が『お客様』なのかというところの認識不足を感じることがある。

サービスの対価としてお金を頂くというのは世の中の仕組みとして当然のことだ。
そのサービスがなんなのか、そしていくらなのかというのは需給のバランスで決定される。

サービスが悪いとお客様はお金を払わない。当たり前のことである。

お客様としてお金を払ってくれるのは誰なのか
そしてそのお客様に対してどのようなサービスをすれば喜んでもらえるのか。
これを考えるのはサービス業としては当然のことだろう。

話が横道にそれてしまうが
私が出演者としてライブさせて頂いているライブハウスでは
総じてスタッフの対応は良いと感じる。
それは私がライブハウスを選ぶ際の基準の中でスタッフの対応という部分を
重要視しているためだろう。

アルバイトが多いのでなかなか難しいのかも知れないが
スタッフのサービスレベルが低いのはサービス業として致命的ではと考えている。

 

『出演者』

出演者は現状のライブハウスにおけるかけがえのないお客様である。
理由はライブハウスの料金システムに起因しているが詳しくは『お金』のところで述べる。

当たり前だが出演者は誰かに自分たちのライブを見せたいのでライブをする。

しかし最近ライブハウスを訪ねてみてライブを見てみると
うつむきながら演奏していたり「本当にライブ見せたいのかな?」と思ってしまうことがある。

それが自分たちのスタイルだというのなら貫けばよいのかもしれないが
楽しそうに演奏していない人たちのライブを観たい人は少ないのではないだろうか。

また音楽に対する思いという部分もあると思う。
中にはとてもモチベーションが高く、頑張っている人もいると思うが
内輪で楽しくという思いでライブに出演している人が多いと思う。

自分たちの演奏を観てくれる人=お客様が楽しんでくれるような
努力を少しでもしている出演者はどれくらいいるだろうか。
前述のライブハウススタッフのところにも書いたが
お客様に対するサービスの部分でやはり足りないのではないか。

ライブはライブハウススタッフと出演者が協力して作り上げるものである。
しかし現状ではライブハウススタッフとのコミュニケーションは最低限。
お互い歩み寄ってよいものをつくろうという気持ちを持つ必要があると考えている。

『観覧者』
ライブを観に来てくれる観覧者は当然ながらライブハウス、出演者にとってのお客様である。

出演者の知り合いで誘われて見に来ている人がほとんどでかつ、
そういった人は音楽を楽しむというより、その出演者を観に来ているだけなので
その出演者のライブが終わると帰る。
(もちろん残る人もいるが)

これはライブハウスの居心地の悪さやライブの魅力が十分でないことが
原因だと思われる。

ライブハウスがそれなりに快適で
「面白いところじゃん」と思うようになれば
知り合いの出演者が出ないときにでも足を運ぶようになるかもしれない。

そういった意味では観覧者自体には選択の権利がありつまらないところにはいかないという市場の原理が正常に働いているといってよい。

つまり観覧者には問題はないといって良いのではないか。

【~2.調査・分析 人編~ まとめ】
○ライブハウススタッフ
 自分達にとってのお客様は誰なのかの認識が統一されておらず、またお客様が喜ぶサービスを提供できていない。

○出演者
 観覧者が自分達のライブを観て良かったと思ってくれるような工夫が必要。

○観覧者
 面白いものは観に行く、つまらないものは観ないという当然の選択をする。